【感想・レビュー】『恋は光』良いところと悪いところについて

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本作は恋の光が視える男と、恋する3人の女たちによる不思議な四角関係を描いた2022年製作の恋愛ドラマ。

“人を好きになること”や“恋する気持ち”についてとことん考えさせられる優れた恋愛映画だった。

台詞回しや現実離れした設定、自然光を活かしたキラキラしたシズル感溢れる映像など見どころ万歳だ。

特に瑞々しい大学生4人の姿を軽妙洒脱に演じてみせた主演4人に拍手を送りたい。神尾楓珠さんの古風な文学者然とした佇まいは素晴らしく、西野七瀬さんの面倒見の良い姉御演技も実に良い。馬場ふみかさんのどこか恋愛に冷めたリアリストキャラも板についていたし、何より平祐奈さんの凜とした佇まいや恋する表情が絶品だった。

第44回ヨコハマ映画祭で最優秀作品賞・監督賞を受賞した他、主演4人が最優秀新人賞に輝いたことも頷けるほど、この4人演技を見るだけで元が取れる作品なのは間違い。

しかし一つ苦言を言わせて頂くと、社会が描けていない部分が残念に思う。この映画はひたすら“恋を定義する”ということに収斂し、逆にそれ以外の要素が希薄なのだ。なので彼らのような年代の方や、恋愛真っ只中の人以外にとって他人事に思えてしまう。

一方、小林啓一監督の前作「殺さない彼と死なない彼女」には恋愛以外にも様々な問題が含まれておりより射程が長い。鑑賞後に“命の尊さ”や“儚さ”というものを感じて号泣したことを昨日のことのように思い出す。

もし本作を見て刺さらないのであれば「殺さない彼と死なない彼女」の方を強くおすすめしたい。

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