ミニマリズムと映画『PERFECT DAYS』について

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フェルミ漫画大学という登録者100万人越えのYouTubeチャンネルがある。このチャンネルは本を要約し、役に立つ様々な情報を漫画で分かりやすく発信する人気チャンネルだ。

私もこのチャンネルが好きで毎日のように視聴しているのだが、動画で紹介していた『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』という本に興味を抱き、実際に購入して読んでみた。

この本はミニマリストを実践する著者の佐々木典士さんが、自身の体験を綴ったエッセイ。

2015年に出版し世界23カ国で翻訳され、なんと世界累計40万部を突破した大ベストセラーだ。2019年には文庫化もされ今も読み継がれている名著と言っても良い。

物を手放す方法や、それで得られるメリットなどが自身の体験を交え詳しく書かれているのだが、文章の上手な方なのでエッセイとしても読み応えのある一冊だった。

映画が好きな方というだけあって『ファイト・クラブ』の名言を引用されていたり、ユーモアも抜群だ。

ミニマリズム実践すれば生活や人生を豊かにすることができると著者は言う。物を減らすことは自分にとって本当に大切なものに気付くための行為なのだ。この考え方はとても共感できる。

映画『PERFECT DAYS』の主人公・平山は、この考え方を実践するキャラクターだ。彼が暮らす質素なアパートの一室には、好きなカセットテープや文庫本、植物の他にほとんど物がない。まさにミニマルな暮らしだ。

スマホやテレビを所有していないため余計な情報に惑わされることはなく、いつも食べるものは決まっているので献立に悩む必要もない。家で洗濯をしないので服を干す煩わしさもなく、風呂は銭湯で済ませるので浴槽を洗うストレスもない。寝る前に文庫本を読むことと、運転中にカセットテープで音楽を聞く時間を楽しみとし、日々のルーティンを淡々とこなす。

それは、あらゆる無駄な物を省いた贅沢な暮らしだ。『PERFECT DAYS』はとても優れた作品なのだが、ミニマリズムを体現した作品でもあった。

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