本作はワケありの荷物の配送を請け負う凄腕のドライバーが、殺し屋や悪徳刑事からある少年を守るべく奮闘する姿を描いたカーアクション映画。
『パラサイト 半地下の家族』の長女役でブレイクを果たしたパク・ソダムの、単独では初となる長編映画主演作だ。また金持ち一家の息子を演じていたチョン・ヒョンジュンとの再共演作でもある。
本作はいわゆる逃がし屋を題材とした作品なのだが、冒頭での韓国独特の狭い路地を活かしたカーチェイスシーンからして圧倒的だった。車同士の位置関係がわかりやすいのと、相手を巻く方法がとてもフレッシュなのだ。
凄まじい勢いで縦列駐車し、ライトを消して身を隠すアクションは、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の『ドライヴ』(’12)を彷彿とさせる。(案外80年代サウンドの使い方含め『ドライヴ』からの影響が強いように感じる。)
また、肉弾戦もたっぷり用意されており、ドライバーや近くの物を使っての近接アクションもこなれものだった。ドラマに関しても、主人公の利他的な行動に出る動機が丁寧に描けているので申し分ない。
総じて、充分エンターテイメントとして及第点といえるし、観て損のない作品ではある。
だがしかし、あまりに類型的過ぎるのも事実だ。どこかで観たシーンや展開の寄せ集めに見えなくもない。
また主人公の万能感も少し気になった。あそこまで運転も上手で、その上強いのはトム・クルーズかヴィンディーゼルぐらいではないか。それゆえ少しご都合主義な部分もあったが、それでもパク・ソダムがカッコよかったのでこれ以上何も言うまい。
パク・ソダムのワイスピ入りも意外と有りかも。