本作は第2次世界大戦末期のフィンランドを舞台に、不死身の老兵がツルハシ一本でナチスの戦車隊に立ち向かう姿を描いた2023年製作のバイオレンスアクション。本国フィンランドで19週連続トップ10入りの大ヒットを記録し、日本でも設定の面白さから話題を読んだ作品だ。
“ツルハシ一本で立ち向かう”という謳い文句から、鑑賞前は『RRR』のようなトンデモアクションを想像していたが、意外にもリアル志向のアクション映画だった。当然、主人公は様々な幸運に恵まれることで生き延びるのだが、それをご都合主義だと安易に言いたくない。そもそも映画なんてフィクションなんだから作り手の都合で作って良い。それよりも大切なのは“行動の動機”と主人公が“生き延びる映画内のロジック”だ。
その点でいうと本作は優にその基準を満たしている。ナチスへの憎悪が段階を経て徐々に高まっていく演出は丁寧過ぎるぐらいだったし、しっかりと痛みを伴うアクションの見せ方も良い。特に、長く水中に潜り続けるべく敵兵の首を切り、そこから酸素を奪うという描写はフレッシュだった。
総じてここまで徹底して勧善懲悪な映画も今時珍しいと思った。午後ローでまた観たい。